Yagレーザーってなに?

Yagレーザーは、イットリウム・アルミニウム・ガーネット(Yttrium Aluminum Garnet)という複合酸化物からなる結晶を使用したもので、それぞれの頭文字をとってYagレーザーと呼ばれています。あまり聞きなれないイットリウムという言葉ですが、これは希土類元素の一種で単体では自然界に存在せず、酸素などと結合することで安定する性質を持ちます。
それとYagレーザーは当初、工業用のレーザーとして用いられていましたが、後に医療用としても用いられるようになった歴史を持ちます。

Yagレーザーの治療効果

Yagレーザーは、Qスイッチルビーレーザーと同様に特定の色素に反応してシミやあざなどを改善することが期待できます。レーザーの出力を切り替えることで皮膚の深層部に光が行き着くため、様々な種類のあざに効果を発揮します。以前はレーザー治療には適していないと言われていたシミなどにも対応ができるのがYagレーザーの特徴になります。

Yagレーザーの機器は、その大半がメラニン色素の破壊に優れた波長と、皮膚の真皮に到達することのできる波長を用いており、症状によって両者を切り替えて対応することができます。薄い色素沈着から、深層のものまで治療することが可能で、その治療対象は幅広く、シミ以外にもソバカスや青あざ、イボ、タトゥーにまで及ぶと言われています。特にロングパルスYagレーザーという機器は、ヘモグロビンに反応して赤ら顔などの症状に効果を発揮します。それとともに皮膚の深層部に熱を加えコラーゲンの生成をすることで、小ジワやたるみの解消にも有効とされています。

Yagレーザーの治療時間はその症状や大きさ、部位などによって異なりますが、一般的には5~20分程が目安となっています。また薄いシミやソバカスの場合は1回の治療で済むことが多いです。ただし真皮にメラニンがある場所や青あざなどの治療には数回(半年)かかることもあります。施術後2週間程でかさぶたができますが、その後も半月から1ヶ月程赤みが消えない場合が多々見られます。そのような際にはその部分に触れないようにすることが大事です。

Yagレーザーの波長による効果の違い

最もよく使われているYagレーザーとしてNd:Yagレーザーがあり、これは2つの波長を兼ね備えている機器になります(工業用だと3つの波長を持ちます)。短い波長はメラニンの吸収率が高いためシミやソバカス、赤ら顔の治療に使用し、長い波長は熱エネルギーを集中的に照射するため深層にある青あざやタトゥーなどに効果的です。また、レーザーの熱により真皮層へと働きかけることで肌の再生を促し、キメの細かい肌へと導いていきます。

Yagレーザーのもうひとつの顔:脱毛

Yagレーザーは脱毛にも効果的だと言われています。Yagレーザーの親戚にアレキサンドライトレーザーがあり、こちらも脱毛などに用いられる機器となっています。ただしアレキサンドライトレーザーはYagレーザーより波長が短いため光が深層部まで到達せず、硬くて太い体毛には効果がみられないこともあります。一方Yagレーザーの波長は長く、光が毛根まで到達するため、男性の体毛やひげなどに対して高い効果が期待できます。そのメカニズムですが、光を照射することで体毛に熱が溜まり、それによって毛穴に埋められていた部分が外に出ます。これをポップアップ現象と呼びます。Yagレーザーによる脱毛治療では、このポップアップ現象が起こることで、毛根の周りが化膿したり炎症を起こしたりする「毛のう炎」などにもかかりにくくなります。

まとめ

レーザー機器の種類は多く、上記に挙げた以外にも様々なものがあります。また、この医療機器の分野は次々と新しいものが登場し、今ある常識が覆されることも多いです。シミやあざの治療に有用とされるYagレーザーですが、医師と相談しながら色々な治療方法を検討してみてください。